ジュゼッペ・トルナトーレ『題名のない子守唄』(2006)

LA SCONOSCIUTA イタリア映画 伊語 2時間01分 監督: ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽: エンニオ・モリコーネ 出演: クセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ
ひっそりと北イタリアの港町トリエステにやって来たイレーナ。裕福なアダケル家のメイドとなった彼女には、逃れられない過去と、ひそやかな願いが…「ニュー・シネマパラダイス」のトルナトーレ監督が6年ぶりに描く、慈愛のミステリー!!

ギンレイホールのトルナトーレ特集。『マレーナ』は男の映画だったが、こっちは女の映画だった。前者が「理想から出発して現実へと向かう(そして理念と現実が止揚される)」のに対し、本作は「現実のなかから辛うじて理想を救いだす(そして理念と現実が止揚される)」構図となっている。
トリエステの冷たい雰囲気と相まって陰鬱極まりないうえに、陰惨極まるサスペンス映画なのだが、やはり面白かった。マフィアが怖いし、主人公イレーナの陰謀も怖いし、半身不随のメイドが突然しゃべりだすシーンも怖い。テダという娘がかわいらしいのが救いだが、彼女も奇病な上に家族関係にも恵まれておらず、暗い雰囲気が漂う。でも、ラストはなかなか上手いこと作ってあった。感動的だった。