「激戦 アメリカ大統領選挙 〜鍵をにぎる中間層〜」

NHKスペシャル。争点は、イラク戦争、経済政策、医療保険制度。このあたりで中間層がどう判断を下すかがカギ。しかし深刻な格差に苦しんでいる当事者でさえも、共和党を支持するケースがあって、「これはアメリカの国民性だよなぁ」とぼくは感心したのだった。

今年11月の大統領選挙に向けて、激しい候補指名争いが続くアメリカ。大きな争点となっているのが、広がる経済格差、とりわけ「中間層」と呼ばれる、所得水準が中間の人たちの暮らしをどう立て直すかである。/全米のほぼ中心に位置することからハートランドと呼ばれるミズーリ州。伝統的な価値観が色濃く残り、保守層とリベラル層が拮抗する町で、ここで選ばれた歴代候補はほとんどが大統領に当選することから、「次の大統領を予言する州」として、毎回、全米から注目される州だ。この地域でも急速に広がった経済格差によって、人々はアメリカン・ドリームを喪失し、深い挫折感の中で暮らしている。/民主党クリントン氏やオバマ氏は、共和党ブッシュ政権下で広がった格差の見直しを掲げる。しかし、共和党の候補は、あくまで小さな政府を貫くべきだと論戦を展開している。候補者選びの序盤戦最大の山場、2月5日の「スーパー・チューズデー」では、20州以上の予備選挙や党員集会が集中、史上まれに見る激しい戦いとなった。番組では、2月5日まで、ミズーリ州セントルイスにカメラを据え、大統領選挙の勝敗の鍵をにぎる中間層の選択を追う。

それにしても医療保険制度についてロムニー(選挙戦からは撤退)が「市場原理を徹底させることで、医療費が安くなるんです」と主張していたのだが、経済学的に間違いじゃないだろうか?たとえば学校をすべて私立にしたら授業料は下がるかね?どうもおかしい。
VOAのラジオを聴いてみると、共和党はマケイン候補に決定で、民主党オバマ予備選挙に連勝、クリントンは防戦・オバマが調子に乗っている状況だそうだ。

As she campaigns in Ohio, Clinton is casting herself as a candidate of action, not words.
"There is a big difference between us, speeches versus solutions, talk versus action," she said. "You know some people may think words are change. But you and I know better. Words are cheap."
Obama says Clinton's escalating attacks are a sign of desperation, and he is turning his attention more and more to the expected Republican presidential nominee, Senator John McCain of Arizona.
"If you want the same as we have had over the last seven years, then I think John McCain is going to be a great choice," he said.

クリントンは「口の上手いオバマにだまされるな」と苦し紛れの誹謗中傷、オバマクリントンは眼中にないとばかりに「私の敵はマケインです」と言い始めたらしい。(それにしてもテレビとかで聞いていると、オバマは短いフレーズを韻を踏みつつリフレインするので、確かに言葉に酔わされる感じがある。演説が上手いというか、人格改造セミナーなんかの特殊技術を操っている印象がある。)
しかし番組中、インド人に仕事をとられた元IT企業の社員が出てきたが、「ああ世界はフラット化してるよ」とぼくは改めて思った。共和党であろうと民主党であろうと「グローバル経済に適応してアメリカが勝ち抜く」という戦略だけは変わらない。日本人としては、アメリカ国内の再配分政策について心配する以前に、アメリカの世界戦略を冷静に分析し、それに対処する心構えが必要だ。「中間層への再配分」といったって、それは世界中の富をアメリカが吸収した上でなされることだからね。