『文学鶴亀』

読書系ブログで称賛の嵐だったので読んでみたら、成程これは面白い。興味のある頁を次々に読み進めていくと色んな関連性が見えてくる。何時の間にか8割がた読み終えてしまった。183ページに釘付けになったが、他にも面白い箇所は一杯あって、たとえば「谷沢永一名言集を編む」では、「《文学作品が、人生の知恵を教えてくれるということは、私はウソだと思う。近代文学を編集した〝文学全集″といったものは日本の特産物です。それは、明治・大正年間にかもしだされた、文学はあらゆる学問・教養の入り口であるという、ヘンテコな教養主義、社会的な思い込みです。そんな社会的風潮が昭和40〜50年ぐらいまで続きましたね》との発言あり、これには両手を挙げて賛成したい」(p.43〜P.44)と述べられていて、これはぼく自身も薄々感じていたことなので興味深かった。国語学関係の部分は疎いので*1野次馬根性。あと吉田健一ってそんなに凄いの?と思ったけど、小林秀雄との対抗意識を読みこむ視点は面白いかも。竹中直人は立派な人。成瀬映画はやっぱり良いねぇ。

文学鶴亀

文学鶴亀

*1:本当は祖父が国語学とか万葉集に詳しい人だったので多少は受け継がれていても良いのだが、ぼんくらキミーがお調子者だったので教養の断絶が生じたのである。