マキノ雅弘『日本俠客伝 雷門の決斗』(1966)

(99分・35mm・カラー)シリーズ5作目。浅草六区の興行権をめぐる抗争を描く。聖天一家を解散して堅気の興行会社をおこした平松(内田朝雄)は、観音一家の卑劣な手段に屈して自殺した。二代目・信太郎(高倉)もまた執拗な嫌がらせにあい…。元々は浪曲師だった村田英雄が大物浪曲師に、そしてブロードウェイ出身の歌手・ロミ・山田は女剣劇の座長に扮している。
'66(東映)(脚)野上龍雄笠原和夫(撮)山岸長樹(美)川島泰三(音)斉藤一郎(出)高倉健島田正吾、村田英雄、藤山寛美藤純子長門裕之、水島道太郎、待田京介、ロミ・山田、宮城千賀子、内田朝雄

秀作。シーンのいちいちにマキノの天才を感じる。「これが映画なんだよなぁ」というオーラがある。
五百円を用意するため、皆が奔走し、話が動いていくプロットが素晴らしい。藤山寛美が良いし、村田英雄の浪曲も素晴らしい。ロミ・山田、藤純子も魅力的だ。
高倉健がいなせな素人の設定になっているのは、シリーズ初期の特徴かもしれない。生意気でストイック一辺倒ではない高倉健は、この頃までだろうか?劇場を締め切っての斬り込みシーンは迫力があったし、藤山寛美のピストルがあと4発という設定も上手い。高倉健の俊敏な身のこなしはいつ見ても惚れ惚れする。