ヨハネス・エリウゲナ

「古代(地中海世界)―近代(ヨーロッパ)」の二分法で世界史を把握したクルティウスは、近代の開始をカロリング朝として、カール大帝期に「ラテン中世」が完成したと考える。カロリング朝ルネサンスの代表的哲学者はヨハネス・エリウゲナ(9世紀)。が、14世紀、「神学―哲学―自由学芸の階層秩序」に「神学と哲学との亀裂」がもたらされ、18世紀後半から19世紀初頭に「哲学と自由学芸」が分離する(個別科学の自律)。
ヨハネス・エリウゲナはディオニシウス・アレオパギテースにインスピレーションを得て、円環的な自然展開論を説いた(「知性ー理性ー感覚」という人間の魂の階層秩序を提示)。14世紀、スコトゥス派がオッカミスティックに追いやられ、中世的思考が変質を来たしつつ、近代思想の流れが形作られる。この経緯をふまえ、<「確定されないもの」の「確定されたもの」に対する優位>を復権することが肝要(個的なものに汲みつくしえない豊かさを見出す「実在論」の復権)。