『叫』は世界的傑作?

トーダイ新聞にハスミ先生のインタビューが載っていたので読んでみると、「近年の映画界における世界的達成は黒沢清『叫』である」(大意)と述べられており、仰天した。そんな評価があるのか。
ちなみにこの特集記事は、コマバは映画天国、黒澤と小津のDVDが観られます!という内容のものだったのだが、ハスミ先生は、「黒澤と小津と成瀬をDVDではなくスクリーンで見なさい。色調に無頓着だし、DVDは邪道である」(大意)と宣っていて、面白かった。
私自身も「スクリーン原理主義者」だが、それは「DVDだと見る気がしないから」というブルジョワ的理由でしかない。とはいっても、映画の魅力はやはりスクリーンだよね。
あと、「世界は無限に複雑なのだから、そういうものとして映画も見るべきだ。思い込みを排して、唯物論的に各シーンを見ることが批評なのだ」(大意)という大先生の主張であるが、「世界が複雑であること」と「各シーンに対して唯物論的な態度で臨むこと」ととの必然的連関が、私にはどうもよく分からない。方法論的なアジテーション以上の意味はないんじゃない?というのが私の意見である。大先生も腹の底ではそう思ってるんじゃないか?という気がしてならない。