医療崩壊
さて義兄は、「医者の息子が欲しい」というオカンの希望を叶えた「孝行息子」なのだが、『週刊朝日』(「崩壊!ニッポンの医療」)によると、医療界は構造的危機の状況に置かれている模様。その要因を整理すれば次のとおり。
- 絶対的な医師不足。(先進国中、最低ランク。厚生省は「医師の偏在」だと主張。1983年、厚生省の役人が『医療費亡国論』を唱え、医学部定員を削減したことが遠因。)
- 患者の消費者意識の高まり、モンスター・ペイシェントの出現。
- 2004年からの新臨床研修制度。医局制度が空洞化し、大学病院からの派遣医も供給不足に陥った。
- 独立行政法人化による、大学病院の補助金削減の影響。とくに大学病院による医師の囲い込み(医師育成の費用節約)。
- 小泉政権時の医療制度改革。サラリーマンの本人窓口負担の引き上げ(2割→3割)、診療報酬の継続的引き下げ(医療機関の経営圧迫)。
最後の要因について、植松治雄氏(日本医師会前会長)は経済財政諮問会議の責任を指摘している。「そもそも国民の健康を守るという医療問題での基本的な視点が彼ら(奥田硯、牛尾治朗ら―引用者)には抜けているんです」(128)。
元大臣の尾辻秀久も、「なぜ国民から選ばれたわけでもない民間議員(財界人や学者)が、大臣より強い立場にあるのか、私には理解できません」(131)と、経済財政諮問会議メンバーへの怒りをあらわにしている。そのうえで消費税の増税は不可避と主張している。