市川崑『雪之丞変化』(1963)

(113分・35mm・カラー)長谷川一夫の“三百本記念”として作られた作品。林長二郎時代に主演して大成功した衣笠の『雪之丞変化』を、市川崑が再映画化し、再び長谷川が雪之丞と闇太郎を演じた。市川監督にとっては初の時代劇映画で、照明や色彩、音楽などに大胆な実験を試みている。
'63(大映京都)(出)長谷川一夫(中村雪之丞、闇太郎)(監)市川崑(原)三上於菟吉(脚)伊藤大輔衣笠貞之助和田夏十(撮)小林節雄(美)西岡善信(音)芥川也寸志八木正生(出)山本富士子若尾文子市川雷蔵勝新太郎船越英二、林成年、柳永二郎市川中車中村鴈治郎中村豊、真城千都世、千葉敏郎

色彩美と様式美が素晴らしい。光を取り囲む闇が異次元性を演出するとともに、鮮やかな原色、幾何学模様が斬新な美しさを生んでいる。BGMではモードっぽいジャズが流れる。
演出が実験的なだけに、ちょっと疲れてしまう部分もあるが、それでも若尾文子と雪之丞の逢引シーンは、紫色がかってとても美しい。若尾文子が「はぁ」と溜息をつき、死んでしまう場面も素晴らしかった。山本富士子の「鼻母音」もセクシーで魅力的。
「色彩美」をきちんと味わうためにはフィルムセンターで見るのがベストか?!とりあえずは観なきゃ始まらない作品(それだけのオリジナリティーに達している)。