格差本

大竹文雄『格差と希望』(筑摩書房)、小林美希『ルポ“正社員”の若者たち』(岩波書店)を読んだ。
前者は、論檀の経済学的論説を整理の上、著者自身の分析が加えられたもの。読みやすいし勉強になる。「規制緩和悪玉論」を唱えるワーキングプアが既得権者と「共謀」関係に立ってしまっている、との指摘は重要。規制緩和・規制強化がもたらす作用については構造的に把握される必要がある。正社員の解雇条件の話も、難しい問題があるなぁ、という感じ。
後者も力作ルポ。非正規雇用だけではなく正社員の雇用劣化も問題だ、という著者の問題意識は重要。ちなみに私などからすれば、登場する若者の労働意欲の高さに「すごいなぁ〜」と驚くことが多い(もちろん、驚いている場合ではない)。

ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う

ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う