エルマンノ・オルミ『ジョバンニ』(2001)

主演:フリスト・ジフコフ、デシスラヴァ・テネケディエヴァ、サンドラ・チェッカレッリ、セルジオ・グラマティコ、サーサ・ヴリチェヴィッチ
16世紀、ルネッサンス時代に実在した、若くして名を馳せた伝説の武将・ジョヴァンニ・デ・メディチの生涯を描いた1本。互いを尊重し、一対一で戦うことが美しいとされた騎士道の時代は過ぎ、技術革新によって火薬を使った武器により、相手の顔もわからないままに死んでいく時代となった。ジョヴァンニの生き様を通して生と死の美学を問いかける歴史超大作。

タルコフスキー風というかソクーロフ風というか、とにかく退屈系の雰囲気が漂うが、重火器を用いた戦争への批判、カトリック信仰からのプロテスタント批判がテーマとなっている。
思いっきり深読みすれば、プロテスタントが主観主義を蔓延させたことで、世界が分裂と混迷を深め、重火器の開発と相まって、人が人としての実質を欠いたままに死んでいく時代になったことへの批判を読み取ることができる(近代批判)。教会が担保する世界観的実質が失われたことで、ジョヴァンニ・デ・メディチは終末論的絶望に苦悶しながら絶命する。カトリック信者にとって宗教戦争を戦わねばならないこと自体、世界の終末を予感させるものであっただろう。
とはいえ、映画はやっぱり退屈。正直、レオ10世の映画だと勘違いして行ったのだが、「クレメンス7世の軍隊としてカール5世と戦ったジョヴァンニ・デ・メディチは1526年11月に死んだ」という冒頭シーンで自分の間違いに気づいた。