内田吐夢『宮本武蔵 般若坂の決斗』(1962)

主演:中村錦之助入江若葉木村功浪花千栄子、阿部九州男、三国連太郎木暮実千代丘さとみ
天守閣の暗闇で生まれ変わった武蔵は、沢庵の手によって再び広い世間へと連れ戻され、さらに数年の武者修行を経た後、京都の名門・吉岡道場に現れる。門弟たちをことごとく打ち負かした武蔵に、高僧日観は「お前は強すぎる…。もっと弱くならねば…」と諭す。またこの章では、武蔵を追って旅をするお通、お甲との愛欲に溺れる又八、遊興の世界に身を沈めながら武蔵に思いをはせる朱実など若者たちの姿が描くことで、青春群像劇としてのシリーズの側面が強調されている。

小学生の時、繰り返し見たシリーズ作品。辻仁成風に言うと、「やっと会えたね」という感じ。
ギギィーと扉が開く、姫路城天守閣の小部屋。冒頭の長廻しからして、ものすごい迫力。花田橋のたもと、お茶屋でバイトのお通さん。「ゆるしてたもれ」と刻まれた文字。僕が小学生の時、好きな女の子のタイプはお通さんだった。
吉岡道場の道場破り。逃げるのもまた兵法。宝蔵院裏で畑を耕す老人。「お前は強すぎる、もっと弱くなれ」。阿含坊を一太刀で即死させるショットの素晴らしさ!
まあとにかく、すべてが素晴らしい*1。ラストで日観にオチョくられ、「命を奪うに仏も念仏もあるものか!」と叫ぶ武蔵の声にエコーがかかる。頑張れ、武蔵。もっと強くなれ!

*1:寂れた寺とか般若坂の雰囲気とか、奈良のロケも素晴らしかった。