ルネ・クレマン『禁じられた遊び』(1952)

JEUX INTERDITS (87分・35mm・白黒) 1953年9月日本公開。ナチスに両親と飼い犬を殺された難民の少女と村の少年との淡くせつない交流を描いた、ルネ・クレマン監督による詩情豊かな反戦映画。1952年ヴェネツィア国際映画祭でグランプリを受賞。ナルシソ・イエペスのギターによる主題曲とともに大ヒットを記録した。
’52(フランス)(監)(脚)ルネ・クレマン(原)フランソワ・ボワイエ(脚)ジャン・オーランシュピエール・ボスト(撮)ロベール・ジュイヤール(美)ポール・ベルトラン(音)ナルシソ・イエペス(出)ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、リュシアン・ユベール

「一九四〇年六月、ドイツ機の掃射両親を殺された少女ポーレットは、農家の少年ミシェルの家に引き取られる。同家では少年の兄が死んだばかり*1。死者には十字架をたてると知った二人は、動物や虫のため次々と墓地から十字架を盗んできてはたてる。死につながる子供たちの無邪気な遊び。孤児院に送られる少女が駅で少年を探すが見当たらず、ママ、ママとつぶやきながら雑踏に消えていくラスト。クレマン監督は、単なる反省映画ではなく、生と死の映画詩にまで作品を高めた。ナルシーソ・イエピスの哀しく美しいギターが、感動を倍加する。」(双葉十三郎『外国映画ぼくの500本』、P.84)
双葉十三郎が最高点を与えた作品だが、とても感覚的な映画なので、戦争の記憶が昨日のものとしてあった1952年と、いま見るのとでは、評価が違ってくると思う。1940年から12年経って、少女があの十字架遊びをどのように思い返すのか。ラストが良かった。

*1:というのはちょっと違うが。