内田吐夢『宮本武蔵 二刀流開眼』(1963)

主演:中村錦之助入江若葉木村功浪花千栄子、阿部九州男、木暮実千代丘さとみ高倉健
この章では柳生石舟斎吉岡清十郎との果たし合いが描かれ、そして生涯最大の敵である佐々木小次郎が登場する。佐々木小次郎に扮する長身の高倉健が長剣の物干し竿を背負ったさまは、天才肌の小次郎の押し出しの強さと華やかさ、さらに不敵な冷酷さをも感じさせて武蔵生涯にわたる最大の敵というのにふさわしい存在感を醸し出している。

切り花の切り口に剣の極意を感じる武蔵。剣の極意は剣術を超える。しかしそこに到達するには剣の道を歩み続ける以外にない。柳生石舟斎のもとを去る武蔵。
吉岡清十郎の内面描写も重要な主題。才能が乏しいにもかかわらず、家名を背負わねばならない清十郎。ここにも求道の士がいる。腕を砕かれてはじめて、清十郎の人生は始まるのだ。
高倉健が怖ろしくかっこいい。武蔵の跪弁も熟達し、柳生四高弟への挑発シーンが素晴らしい(城太郎が犬を撲殺する)。やはり名作。