内田吐夢『妖刀物語 花の吉原百人斬り』(1960)

主演:片岡千恵蔵水谷良重木村功山東昭子、千原しのぶ、沢村貞子花柳小菊
絹商人の夫婦に拾われた捨て子の次郎左衛門は顔に痣があった。真面目な人柄で商売を大繁盛させるも、見合い相手には化物を見るような目で見られる始末。ある日、吉原で遊女の玉鶴に「心に痣があるわけじゃない」とやさしい言葉をかけられ、惚れた挙句に家産を傾けるが、「金の切れ目が縁の切れ目」と愛想づかしをされ、だまされていたと知った次郎左衛門は妖刀“籠釣瓶”を抜き、彼から巻き上げた金で太夫の披露をする女の行列に斬り込んだ…。次郎左衛門が花魁道中の行列に斬りかかるラストシーンは圧巻。

明らかに失敗作。どこにも救いようのない話が延々と描かれ、観ている方は苦しくて仕方がない。しかし顔の痣といい、片岡千恵蔵の騙されようといい、内田吐夢流の業苦は本当にドロドロである。ラストも凄いが、何かが解消されたような気にはとてもなれない。