ヴィリ・フォルスト『マヅルカ』(1935)

MAZURKA (94分・35mm・白黒)1936年5月日本公開。殺人者による回想シーンを大胆に使ったストーリー運びが特徴的なフォルストの監督第3作で、封切当時はストーリーを明かさない斬新な宣伝手法がとられた。渡米の後スクリーンから遠ざかっていたポーラ・ネグリがカムバックしたのも話題で、本作では題名のマヅルカ(ポーランドの民俗舞踊)も披露している。
’35(ドイツ)(監)ヴィリ・フォルスト(脚)ハンス・ラモー(撮)コンスタンティン・チェット(美)ヘルマン・ヴァルム、カール・ハッカー(音)ペーター・クロイダー(出)ポーラ・ネグリ、アルブレヒト・シェーンハルス、インゲボルク・テーク、フランツィスカ・キンツ、パウル・ハルトマン

青べか物語』がすでに締切だったので、かわりにこれを観たら、予想以上に素晴らしい作品だった。
いかにもヨーロッパ映画風の優雅さと退屈さに油断していると*1、思いもよらないサスペンスが突如として示され、虚を突かれる。回想形式になっているのに、構成にまったく弛みが生じていない。歌手であり母であるポーラ・ネグリの演技と歌声が素晴らしく、彼女はワルシャワ出身の歌手の役で、第一次世界大戦に翻弄されたヨーロッパを感じさせるストーリーとなっている。法廷シーンでの心理的サスペンスには本当にドキドキさせられた。母の愛!!

*1:もちろん、これぞヨーロッパという魅力は満点である。駅や街の風景も素晴らしいし、ドイツ語が美しい。