ジャック・フェデー『女だけの都』(1935)

LA KERMESSE HÉROÏQUE (101分・35mm・白黒)1937年3月日本公開。1616年フランドル地方の小都市が、スペインの軍隊が通過すると聞いて騒然とする。軍隊を鎮めようと市長は死んだ振りをして、町はニセの喪に服す。フランドルの町を大がかりに再現したラザール・メールソンの美術も見もの。キネマ旬報ベストテンでは、1932年の『自由を我等に』から37年の本作まで東和商事の配給作品が6年連続で第1位を占めた。
’35(フランス)(監)(脚)ジャック・フェデー(脚)シャルル・スパーク(撮)ハリ・ストラドリング、ルイ・パージュ、アンドレ・トーマ(美)ラザール・メールソン(音)ルイ・ベイツ(出)フランソワーズ・ロゼー、ミシュリーヌ・シェイレル、ジャン・ミュラ、アンドレ・アレルム、ルイ・ジューヴェ

フランドル絵画を参考にして作られたらしい。風俗描写が興味深く、とても楽しい映画だった(死んだマネをしている市長の部屋にサルが紛れ込むシーンが良かった)。宮廷文化への庶民の関心にも興味が引かれる。
「フェデー作品には珍しい艶笑味を加えた諷刺コメディ。ブリューゲル風の画調が連続する。女性の力は偉大なりという機知と諷刺だが、軽量ではなく、風格あふれる堂々たる風俗絵巻の力作に仕立てられている。ジューヴェがよく、ロゼーの落着いた演技も扇のカナメ」と双葉先生(61)。こういう作品の評価をさせると本当に的確。