スサンネ・ビア『悲しみが乾くまで』(2008)

THINGS WE LOST IN THE FIRE 1時間59分 出演 ハル・ベリーベニチオ・デル・トロデヴィッド・ドゥカヴニー
最愛の夫を亡くしたオードリーは、夫の親友だった麻薬におぼれた元弁護士ジェリーを葬儀に招く…喪失感に打ちひしがれた男女の葛藤を繊細なタッチで描いた、スサンネ・ビア監督のハリウッド作品。
http://woman.excite.co.jp/cinema/kanashimi/

忙しかったので、つまらなかったら途中で退出しようと思っていたのだが、わりと面白くて最後まで見てしまった。デジカメで接写したような皮膚のクロースアップが多用されており、繊細でハイパーリアルな映像美が味わえる。黒人妻が美人で、セクシャルな魅力も楽しめた(うひひ)。
ただしキャラクターの深みがイマイチで、脚本段階での練り上げが甘い。「才女だが人間的には浅くて修行が足りない黒人妻が、夫が死んでどうなるのか?」という家族物語は良いとしても、「人間的には深みがありそうだが、敏腕弁護士だったのに麻薬中毒でダメダメになっている夫の親友」の方は、背景が全然描かれないので、あまりキャラクターがつかめなかった。家族モノと麻薬モノを無理やりくっつける時点で無理があったのでは?ダメ親友(ベニチオ・デル・トロ)の演技が素晴らしかっただけに、惜しい!
それにしても、シアトル郊外の高級住宅地と麻薬中毒者が集うスラムの対照はとても興味深かった。アメリカが映っているだけで十分楽しめたりする(Self Help Groupのあり方はやっぱり興味深い)。映画はだから面白いんだよね。