伊藤大輔『國際密輸團』(1944)

(54分・35mm・白黒・不完全)明治初年の横浜で、税関長がイギリス公使の密令によるアヘン密輸団の陰謀を暴くという実話に基づいた異色の伊藤作品。現在この一部分しか残っておらず、とりわけ前半が大幅に欠けているが、結末のシーンなど、断片的には物語を追うことができる。密輸団のアジトのセットは注目に値する。
'44(大映京都)(監)(原)(脚)伊藤大輔(撮)松井鴻(美)上里義三(音)白木義信(出)市川右太衛門、E・スタルコフ、V・ゴロワノフ、逢初夢子、上山草人、高山徳右衛門

アヘン戦争に参加したイギリス公使パークスは、清と同様、アヘン密輸で日本を属国化しようと企んでいる。これに気づいた星亨は、中国人マフィアを巻き込み、三つ巴の陰謀合戦を繰り広げる(星とパークスはヴィクトリア女王の尊称をめぐって激しい口論を戦わせもする)。横浜の暗いセットが怪しげな異国情緒を醸し出しており、なかなか見応えがあった。
映画のセリフがプツプツ切れているので、物語としてはあまり楽しめない。少し眠ってしまった。