サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー:歌劇「エフゲーニ・オネーギン」からポロネーズ
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲 二長調 
庄司紗矢香 (バイオリン)
アンコール「ロシア映画(1975)“The Irony of Fate”より“私の最愛の女はいずこへ”」
−−休憩−−
チャイコフスキー交響曲 第5番 ホ短調
アンコール「エルガー:愛のあいさつ」「チャイコフスキーバレエ音楽“くるみ割人形”から“トレパーク”」

恐るべき上手さだった。ユーリ・テミルカノフ指揮。
「エフゲーニ・オネーギン」は登壇するとすぐにファンファーレが開始。いきなり「わぁすごいな」という感じ。「バイオリン協奏曲」は第一楽章がすばらしい。土俗的な骨太さの現代的表現を感じたが(ロシアの土俗性と言うべきか)、庄司紗矢香はいつもあんな感じで演奏するのだろうか?緩急の落差が激しかった。
完全に圧倒されたのは「交響曲第5番」。信じられないほどうまい。5番ってこんな名曲だったんだ、チャイコフスキーってこんなにすごい人だったんだ、とビックリした。不安と焦慮、感傷と陶酔、断念、救済。
第二楽章のホルンのソロは、ムラヴィンスキーの時代からいる演奏家だそうだが、哀切な響きが漂って素晴らしかった。トランペットを中心とする金管ティンパニは、ムラヴィンスキーのCDから聞こえてくる暴力的な圧力を含んでいて、ああこれはレニングラード・フィルだな、と感じさせられた(これは想像でしかないけど)。
アンコールの「愛のあいさつ」は、室内楽的な美しさに満ちており、言葉を失う体験だった。世の中には自分の知らない凄いものがまだまだたくさんある、ということを思い知った。