ジェームズ・ホエール『フランケンシュタイン』(1931)

主演:コリン・クライヴ、メエ・クラーク、ボリス・カーロフ、ジョン・ボールズ、エドワード・ヴァン・スローン
メアリー・シェリーが1818年に発表した小説「フランケンシュタイン」は何度も映画化されたが、その原型と言えるのが本作品であり、モンスターを演じたボリス・カーロフもまた、そのイメージを決定づけた。感情を持たないモンスターがそれゆえに無邪気に少女を殺してしまう哀しくも美しいシーンが心に残る。

超有名作品だが、途中で眠ってしまうほど意外にも単調だった。フランケンシュタインの怪しい実験室、「normal brain」「abnormal brain」のラベルの貼られた医学教室の標本など、ドイツ(表現主義)風の独特の魅力は楽しめるのだが、死体を漁り、脳を盗んで作られたモンスターのキャラがよく分からなかった。無邪気な少女と一緒に、池に向かって菊の花を投げつける遊びをしているうちに、結局、菊の花と同じように少女を投げ込んでしまうらしいのだが、このシーンは描かれず、モンスターの心情の陰影は不明なままだった。
「ぼく達は『魔人ドラキュラと『フランケンシュタイン』を一九三一年に同時に得たのである。……その後、何度この映画の名場面が真似され、パロディ化されたかわからない。それほど決定的で印象的だったのである。当初ベラ・ルゴシが予定されていたが、本人が嫌がったのでボリス・カーロフに代わった。ファンにとっては、これも幸いだった。彼がモンスターの映画的イメージを不朽のものにしたからである。」(『ぼくの500本』、240−241)
犬と群衆に追いかけられて、水車小屋で焼き殺される強烈なラストは、凄絶で憐れな感じがあった。