中近東文化センター

ICUの隣にある知られざるマニアスポット、中近東文化センターへ行ってみた(最寄り駅、武蔵境)。
とりあえずは常設展。シュメール王朝だってエラく昔だと思うが、それより数千年前からのメソポタミア近隣の遺物が陳列されていて、人類をナメちゃいけない、と思った。要所要所に三笠宮の写真が挟まれ、メソポタミア、エジプト、ローマ・・・オスマントルコに至るまで、ものすごく急ピッチで展示が進んでいく。若干カオスめいているが、そこがまた面白い。あとハンムラビ法典(複製)はデカい。
次に「ヘレニズムの華 ペルガモンとシルクロード」という特別展示へ。アルカイック期のギリシアの壺に惹かれ中へ入ってみたわけだが、「アッタロス朝ペルガモン王国(前281−133)」は、ヘレニズム文化が最も栄えた都市だったらしい(意外と盲点)。エーゲ海を望むペルガモンのアクロポリスの様子が再現されており、高台に大祭殿、巨大な劇場があって、風光明媚な良い所だった。
陳列物には「トルコ」と表示されているが、要するにイオニア地方。アレクサンダー大王の死後、アンティゴノス朝マケドニアセレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトの間に挟まって、アナトリア地方でそれなりの勢力を地味に誇っていたらしい(アナトリア情勢は案外と込み合っていた)。祭殿には、オリュンポスの神々と巨人族(ガイアから生まれた邪悪なるもの)の戦いの巨大レリーフがあり、その欠片が色々展示されている。ヘレニズム文化だなと思わせる、興味深い模様だの、様式だのが見てとれた(マケドニア後継国家としての正統性も主張されているらしい)。
これらは19世紀にカール=フーマンという人が発見して、全部ドイツに持っていたのだそうだ(ベルリンのペルガモン博物館)。ガンダーラ美術の仏像もあった。