タナダユキ『百万円と苦虫女』(2008)

2時間1分 出演:蒼井優森山未來ピエール瀧竹財輝之助モロ師岡堀部圭亮 http://www.nigamushi.com/
21歳フリーターの鈴子はある事件をきっかけに実家をとび出し、見知らぬ土地で地道に働き100万円貯まると引越しを繰り返し、波乱に満ちた出会いを経験。アウトローな女の子の苦くて愛しいタナダユキ監督のロードムービー!!

蒼井優が、海の家でアルバイトしたり、田舎で桃の収穫を手伝ったり、地方都市で花屋のバイトをしたりする。結局、森山未來とうれし恥ずかしの恋仲になる。ピエール瀧*1に驚く入浴中の蒼井優、彼氏がネギを栽培しているのを知って喜ぶ蒼井優…。蒼井優を鑑賞するための作品。
「あとは若い者同士、よろしくやってくれ、うへへ」と部屋を出た後で、ドアの隙間から若い者たちの様子をうかがっているみたいな、どうしようもない年齢ギャップを否定できない一方で、さわやか恋愛物語として良く出来ているとも思った。「ワシらの若い頃を思い出したよ、お婆さん」「なんだいお爺さん、恥ずかしいじゃないか、年甲斐もなしに、ウフフ…」みたいな感じか。会話で言えば。まあ森山クンもさわやかで好感が持てるし、10代後半から20代前半の若者が見ればけっこう楽しめるんじゃないかな。大人でも、ゆるくていいのなら、それなりに楽しめる作品だと思う。ラストも悪くない。

*1:ピエール瀧が若干気持ち悪いモテない男として出てくるのだが、こういう「キモイ男」みたいな設定を女性監督がやっているのを見ると、いつも違和感が残る。もっともこの作品ではそこまでひどくないのだが、もっとひどい作品はいくらもあって(例示はしないけど)、そういうのを見るたびに「この監督に直接会ったら何時間もかけて説教してやるんだけどな」と思ったりする。生理的感覚(キモい/キモくない)で人間を類型化するような感性で、映画で人間を魅力的に描くことなど可能だろうか?いや、可能ではない。