大和屋竺『愛欲の罠』(1973)

主演:荒戸源次郎絵沢萠子、安田のぞみ、中川梨絵山谷初男
星はある殺しの一件で調子に乗って、同棲中の眉子を連れて殺しの現場を見に行くというタブーを犯す。愛していた眉子がいつの間にか姿を消し、逃げられたと失望した星の元に、ボスから電話がかかる。明日、眉子を殺せ、と言うのだ…。荒戸源次郎がプロデュース・主演し、鈴木清順の『殺しの烙印』の続編として企画されるもほとんど公開の機会がなく、ファンの間でも“幻の作品”とされる一本。

青色の画面にクレーンが映し出される冒頭はかっこいいのだが、仕事を終えると性欲を押さえられないスナイパーが、まるで人形みたいな謎の二人組にオンナを殺されたり、仕事がうまくいかずimpotentになったりして、基本的に訳が分からない。この人形が、風貌やしゃべり方を含めて、ものすごく気持ち悪い。非合法の売春宿のお婆さんがやたらとリアルなお婆さんで、これも気持ち悪かった。
ラストでまさかの八王子seminarハウスが出てきて、人形とスナイパーが戦いを始める。人形は温室の蚊に刺され、人形の人形性みたいなものに破綻を来して、絶命する。たぶん一種の政治映画で、政治闘争の挫折みたいなものを描いているんだろう。まあそう考えると、イマイチな映画だが、風俗資料として見るべき所はある。