藤田敏八『十八歳、海へ』(1979)

主演:森下愛子、永島敏行、小林薫、島村佳江、下条アトム、鈴木瑞穂小沢栄太郎
桂は予備校で同級の英介が暴走族との喧嘩で海に入っていくのを真似て敦夫と共に海に入っていくが、心中と間違われて助けられてしまう。死と隣り合わせの瞬間に喜悦を見出した桂は心中ごっこを繰り返すが、遊戯の果てに待っていたものは…。中上健次の同名小説を原作にして、『サード』の名コンビ森下・永島が若者の不毛な青春を演じる。

めちゃくちゃ良かった。物語的にはよく分からない所もあるんだけど、海の映像が素晴らしい(『飢餓海峡』を彷彿とさせる波のうねり、『ションベンライダー』の河合美智子みたいに森下愛子が海に入っていくシーン)。森下愛子は可愛いし、島村佳江も美人。暮れ時の群青色の空がフッと暗くなる時間経過の描写も素晴らしかった(冒頭と首つりの場面)。昔の予備校とか、海沿いのラーメン屋とか、何となく切ないような、懐かしいような、曰く言い難い味わいが漂っている。永島敏行と小林薫もとても良い。