森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』(1985)

主演:倍賞美津子原田芳雄平田満泉谷しげる、片石隆弘、竹本幸恵、久野真平、小林トシ江、左とん平、上原由恵、梅宮辰夫、小林稔侍、殿山泰司、乱孝寿
旅回りのダンサー・バーバラが、久々に名古屋に帰って来た。彼女は、原発を転々と渡り歩く“原発ジプシー”の宮里とくされ縁の仲。そろそろ堅気の仕事に就いて結婚を、と考えている。しかしそんなとき、原発作業中に廃液漏れで被爆した安次が、事故隠しのために命を狙われていると言って逃げ込んできて…。不良中学生、原発ジプシー、娼婦など社会のはみだし者たちの生き様を描いた、骨太の人間ドラマ。(CV)

ニワトリはハダシだ』とよく似た話。原発の廃液漏れを隠蔽するため、警察とやくざが癒着し、コザ騒動で沖縄から逃げてきた倍賞と原田などが事件に巻き込まれていく。不良中学生に拉致された平田満が良い味を出している。殿山泰司も良い(きつねの嫁入りで禿頭を拭うシーン)。
ただし政治色が強すぎるし、話が整理されていないので、理解しにくい。原田が銃をぶっぱなすシーン以降の怒濤の展開は素晴らしいし、倍賞がみずから銃を手に取る場面などは神々しささえ感じさせるのだが、全体としては、溢れる過剰さを整理できていない。まあでも倍賞美津子は相変わらず素晴らしい。「一九の春」の沖縄民謡もグッとくる。