母娘関係は難しい

斎藤環『母は娘の人生を支配する』(NHKブックス)。腐女子やおい趣味は、<(1)「関係性萌え」(男性は対幻想に基づく「キャラクター萌え」)+(2)自分の主体のポジションを消去する「他者の享楽」という享楽形式(男性は男性視点に自己同一化する「ファルス的享楽」)>で説明可能。まあそうだろう。
父−息子関係は、抽象的で観念的な対立なので(=社会的威信に基づく普遍的価値観の座標軸上に設定しうるので)案外単純な葛藤でしかないが、母−娘関係は(乳幼児期の母子密着の延長上にある)無自覚な依存・支配関係を招くので、身体性レベルで感受される非言語的な葛藤を生み出し、問題がこじれやすい。
素材がサブカルネタばっかりで辟易するが(常識的すぎるし、長すぎる)、たしかにこういう問題はありそう。娘にとって母親とは「不完全な一人の人間」として相対化することが難しい存在なのだそうだ。母親が性的抑圧を加えると、娘は腐女子化する??離乳のタイミング(笑)と母親の子離れ(娘離れ、社会的自立)がカギ。

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)