川勝義雄『中国人の歴史意識』(平凡社ライブラリー)は色々と考えさせられる本だ。「司馬遷歴史観」「司馬遷ヘロドトス」を読むと、たしかにヘロドトスギリシャ思想において継承されなかった一方で(アウグスティヌスまで??)、司馬遷歴史観の場合、(移ろいゆく世界を弁証法的構造として捉える)「道」の形而上学と「礼」的秩序原理を基盤とする、精緻で体系的な歴史意識を持っていることに気づかされる。司馬遷と対比されるべきなのはヘロドトスではなくアリストテレスだ、というのも正しいかもしれない。
西洋では霊魂と肉体を区別するが、中国人は精神と物質を区別しない、という身体観・宇宙観の説明もわかりやすかった(150〜)。たしかに朱子学理気二元論の場合も、理と気は位相の異なる概念なので、誤解しないように気をつけなければならない。要するに、中国社会における「道教」の位置づけをどう考えるべきか、という問題だ。
といいつつ、まだ読んでる途中。

中国人の歴史意識 (平凡社ライブラリー)

中国人の歴史意識 (平凡社ライブラリー)