安田公義『大魔神』(1966)

(84分・35mm・カラー)巨大な石像の武神が目を覚まし、領主の圧政に苦しめられた民衆を救う。「ゴーレム」の伝説を時代劇の世界に移植した特撮映画(特技監督黒田義之)。大映は東京撮影所の『ガメラ』に続き、京都撮影所から本作を発表、『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』との二本立てを実現させて話題を呼んだ。
'66(大映)(監)安田公義(脚)吉田哲郎(撮)森田富士郎(美)内藤昭(音)伊福部昭(特撮監督)黒田義之(特撮合成)田中貞造(出)高田美和、藤巻潤青山良彦、五味龍太郎、島田竜三、遠藤辰雄(FC)

瀧のそばに封印されている巨大埴輪・大魔神。善政を敷いていた領主が部下に殺害され、新しい領主は民衆を搾取しまくる。元領主の息子と娘は大魔神を祭る巫女に匿われ、雌伏の時を過ごすが、残党となった家来たちは次々に捕らわれ、追い詰められていく。
葬送行進曲のようなテーマ音楽が重厚で美しい。大魔神は怪獣ではなく神なのであるが、異界を感じさせる映像美が堪能できて、心が震えた。シャーマンが斬り殺されるスローモーションも良かったが、石のように堅い大魔神の額から血が吹き出るシーンの、何とも言えない禍々しさが忘れられない!!娘役の女優も綺麗だし、娘の涙で土に帰るラストも雰囲気がある。名作。