森崎東『喜劇・男は愛嬌』(1970)

渥美清(オケラの五郎)、倍賞美津子(小川春子)、寺尾聰(曽我民夫)、沖山秀子(ギン子)、中川加奈(美代子)、財津一郎宍戸錠田中邦衛、浜村純
少年院あがりの春子を更正させようと、民夫は保護観察官を買って出るが、そこに民夫の兄・オケラの五郎がアフリカから帰ってくる。民夫の願いもむなしく、春子の家にトラックが突っ込み、弁償費用を得ようと五郎は春子の結婚話でひと儲けしようとするが…。

三浦半島の海沿いのスラム。若き寺尾聰の演技はやや生硬だが、渥美清と、宍戸錠財津一郎田中邦衛らとの絡みが見所たっぷり。宍戸錠がタバコに火を付けるのを、渥美が執拗に吹き消すシーンも笑えたが、似非インテリ小説家を演じた財津一郎の、髪をかき上げるキザな仕草がとくにサイコーだった。田中邦衛はドケチ偏屈人間の地主役。南無妙法蓮華経と唱える浜村純の死神ぶりもさすが。
若い頃の倍賞美津子は、ちょっとうちの妹に似ている。トラックの突っ込んだ半壊の家もインパクトがあるが、そこに住むカリエス少年(春子の弟)が良い味を出していた。アフリカのお面をかぶるのがよい。