日高繁明『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(1960)

(77分・35mm・白黒)『ゴジラの逆襲』の脚本に参加した日高繁明の監督作品で、東映社長・大川博の肝いりで発足したばかりの小西昌三率いる特殊技術課が、ラストのミニチュア撮影に腕を振るった。東宝作品『世界大戦争』に一年先行して核戦争による世界滅亡を描いた近未来映画の佳作。
'60(第二東映)(監)日高繁明(脚)甲斐久尊(撮)荒牧正(美)近衛照男(音)石松晃(出)梅宮辰夫、三田佳子、故里やよい、神田隆、藤島範文

アメリカの軍用飛行機が朝鮮半島に墜落して、第三次世界大戦がはじまる。東京がパニックになるのだが、自動車が通行人をパンパンはねたりして、「いくらパニックでも、それはないだろ」という感じだった。稚拙な脚本だが、そのくらい「全面講和論」に必死だった、ということかもしれない。
「ケンカや暴力はいけない。そういう心が戦争を生むんだ」という左翼言説をひさびさに耳にしたが、「悲惨な戦争を起こさないように心を正しくしよう」(「戦争を起こすやつは心の汚いやつだ」)という思考様式の浸透ぶりにあらためて驚いた*1。梅宮は男前だが、看護婦役の三田佳子はちょっとカタい感じだった。

*1:日本人がこういう思考様式になじまなくなった、ということが面白い。