セシル・B・デミル『十戒』(1956)

THE TEN COMMANDMENTS 220分 撮影 ロイヤル・グリッグス、音楽 エルマー・バーンスタイン、出演 チャールトン・ヘストン(モーゼ)、ユル・ブリンナー(ラメシス)、アン・バクスター(ネフレテリ)エドワード・G・ロビンソン(デーサン)
デミルが23年の自作をリメイクした超大作。旧約聖書を基に、モーゼがイスラエルの民を率いて聖地を築くまでを特撮を駆使して描いた、「ベン・ハー」と双璧を成すスペクタクル史劇の傑作。…(yahoo映画)

舞台装置がチャチというのもあって、前半は眠いのだが、後半になるとそこそこ面白くなってくる。ヨシュアとともにエジプトに戻り、ヘブライ人の解放をラムセスと交渉するのだが、ナイル川が血に染まったり、雹が降って火事が起こったり、所謂「モーゼの十災」が見モノだった。夜霧が広がるにつれて過越の準備をしていない家の長子が死んでいくシーンも、なかなかのホラー。
ベン・ハー』と比べると名作とは言い難いが、伝説的要素がぬぐい難いので、仕方がないかもしれない(キリストより1000年以上前)。モーゼがシナイ山に登っている間にイスラエル人が偶像崇拝をして踊りだすシーンでは、稲垣浩の『日本誕生』を思い出してしまった。チャールトン・ヘストンもほとんど神様だが、天照大神原節子も素晴らしかったぞ!!
モーゼがぶちギレて、「イスラエルに呪いあれ!」と叫びながら、石版を投げつける場面では、ちょっと考えさせられた。たしかにモーゼの神が発明されたからって、世界は全然良くなっていないし、エジプトの神(マアト信仰)で何が悪いの?と思ってしまう。余計なことをしてくれた感、がなくもない。
この作品を新しいテクノロジーで撮り直したら、かなり良い映画になる可能性がある。