いろんなことが納得できなかった一日。読んでいた本が、翻訳のせいかどうかは分らないんだけど、ぜんぜんわかった感じがしなかった。大まかには分かっても、思考過程がはっきりわからない。本屋に『統治二論』が出ているのもムカついた。古典中の古典なんだから、岩波文庫で出せばいいじゃん。
「「錯乱」安倍晋三の「四人の神」」(『週刊文春』)によると「…官邸とオカルティズム。にわかには信じがたいが、これが安倍官邸の真実なのだった」とのこと。
それにしても、今日は不全感が残った。全体的にやる気なし。気力に欠けている。

清水宏『人情馬鹿』(1956)

(71分・35mm・白黒)デビュー当初から溌剌とした美人女優として華々しく登場し様々な大スターと共演した角梨枝子。大正時代を舞台とする川口松太郎の人情劇を現代風にアレンジした本作では、愛する男のために自己犠牲も厭わない健気なキャバレーの歌手を演じている。
’56(大映東京)(出)角梨枝子(村田ユリ)、根上淳(日下検事)(監)(脚)清水宏(原)川口松太郎(撮)高橋通夫(美)仲美喜雄(音)米山正夫(出)菅原謙二、藤田佳子、船越英二、潮万太郎、三田隆、進藤英太郎、浪花千榮子、滝花久子、小原利之、小山内淳、ジョー・オハラ、ペギー葉山

「愛する男のために自己犠牲も厭わない健気なキャバレーの歌手」とか書いてあるが、デタラメもいいところ。愛してもいない男なのに、まじめなお母さんの様子にうたれて、まともなことがしたくなった女の気まぐれがテーマ。71分と短いのは素晴らしいが、出来は平凡で、むしろストーカー気味の男の位置づけが奇妙だと思った。よく分からない映画だったが、キャバレーの女主人公が突然大阪弁をしゃべったり、交渉の際にいろんな技を繰り出すところが面白いといえば面白かった。

稲垣浩『大坂城物語』(1961)

(95分・35mm・カラー)「謙虚な物作り」の精神を重んじ、多くの作品でコンビを組んだ稲垣浩から絶対的な信頼を得ていた撮影監督・山田一夫。そのカメラが豊臣、徳川間の争いをダイナミックに捉えた。また、和楽器が巧妙に用いられる伊福部の時代劇映画音楽は、本作でも箏の調べを効果的に交えている。
’61(東宝)(撮)山田一夫(音)伊福部昭(特技撮影)有川貞昌(出)丹波哲郎(石川貞政)、藤木悠塙団右衛門)、中北千枝子(八重の局)(監)(脚)稲垣浩(原)村上元三(脚)木村武(美)植田寛(編)岩下廣一(出)三船敏郎香川京子、星由里子、久我美子山田五十鈴夏木陽介平田昭彦志村喬、市川団子、田崎潤

超豪華出演だが、あらずもがなの合成画像など、おかしな実験性が垣間見られる。時代を考えれば微笑ましいともいえる。途中から普通の娯楽時代劇になり、最初から普通にとれば十分面白いのにさ、と思った。若い香川京子をカラーで見れるのは素敵である。変な映画だったが、面白く出来上がっていると思った。稲垣監督作品でいうと、『風林火山』(1969)の真面目さと『柳生武芸帳 双龍秘剱』(1958)のB級路線の間に位置する作品ではないか?