音楽に癒されたい

疲れた。疲れきった。
こういうときに聴きたいのは、ヴァントの精妙さでもなく、ムラヴィンスキーの凄みでもなく、クライバーの動物的生々しさでもない。どんなにボロボロのアナタでも受け入れてくれるような、優しい音楽を聴いて癒されたい。

そのあと、少し前向きになろうという気になったら、これを聴こう。

第一楽章のコントラバス、チェロの低音部の旋律に身を委ねると、とってもステキな気分。やっぱりブラームスだね。私の敬愛する許光俊先生は、「ブラームスクラリネット五重奏曲」の評論中で、こう述べておられる。

私はずっとブラームスが嫌いだった。……が、どうも近頃は、「俺、ブラームスがわかってきたかもしれない」と思う瞬間がある。……要するに、「がんばれば手に入るよ」「手に入らなかったら、別のものを求めればいいよ」「ダメなら別のことやろう」、そう積極的に考えられるあいだは、ブラームスなんぞわからないのだ。「あ、もう後戻りできない。やり直せない。これしかないんだ」、その忸怩たる思い、閉塞感、いたたまれなさがないとわからないのだ。30代も終わりになって、とうとう私もこう感じるようになってきたのだ。わーん、中年だよ(泣)。(『絶対!クラシックのキモ』(211))

私なんて最初からブラームス好きだから、もしかすると生まれながらの精神的中年なのかもしれない。まあ、ホントの中年になったら円熟味が出てくることを期待しよう。今日も読んだ本とかあるけど、紹介しないッ!

絶対!クラシックのキモ

絶対!クラシックのキモ