『妻として女として』

seiwa2005-10-12

「三角関係」を描いた傑作映画。1961年。高峰秀子淡島千景森雅之仲代達矢、、星由里子、水野久美、淡路惠子、飯田蝶子丹阿弥谷津子

妻として女として(106分・35mm・カラー)
戦後の混乱の中、妻ある男(森)に頼って生きるしかない女(高峰)が、男の本妻(淡島)との間に静かな火花を散らしながら、ついには男と別れる決心をする。崩壊する家庭の姿を流麗な演出で見せるメロドラマで、とりわけ二人の女の間にみなぎる緊張感が素晴らしい。
’61(東宝)(脚)井手俊郎松山善三(撮)安本淳(美)中古智(音)斎藤一郎(出)郄峰秀子、淡島千景森雅之仲代達矢、星由里子、水野久美、淡路惠子、飯田蝶子丹阿弥谷津子

素晴らしい。夫、本妻、妾、子供たち(実は妾の子なのだが、映画の終盤まで本人達には、それが伏せられている)のそれぞれに言い分があり、それらは決して交わらないのだけれど、でもひとつだけたしかなことは、全員が同じ現実を共有しているということ、そしてその現実からは簡単には抜け出せない、ということである。すべての演技が素晴らしいのだが、とくに高峰秀子の、臆病なような、投げやりなような、尊大なような、純情なような――芝居が絶品である。
といいつつ、こんなに分かりやすいドラマ性でないほうが、個人的にはさらにグッとくるのだけれど。