『教育委員会廃止論』

前に予告しておいたので、コメントします。「文科省の机上の運営論を理想的にシミュレーションをしてみましょう」(以下、128〜130)。

すべての教員は、採用基準の中心となるペーパーテストは満点であり、教育技術も子供たちを愛する気持ちも、人間としてのさまざまな体験も十分に積んでいると信じられています。担当するクラスの子供たちに、学習指導要領によって定められた教育水準をより高く平等に、しかも十分に教育できる能力を持っている、ということになるでしょう。

→教員採用の基準が不明確なのは、選択する主体が現場ではないからだ。市町村の教育委員会は、地域的公平性の確保という名目のもと採用を広域的に行い、人材を各学校に派遣している。だが本来は、学校の運営方針を計画する校長が、みずからの責任のもとに採用を行うべき。その際、校長には「学校予算の校長裁量権」や「教育過程編成権」といった権限が拡大されねばならない。自由な取り組みが可能になるからこその責任の明確化であり、それによって「所属教職員と学校運営上の一体感」を生み出すことが求められる(18〜)。

クラスに在籍する子供たちは、どの子もよい子で明るく教えられたことをしっかりと習熟します。新任の教員であっても、都道府県が行う全体教員研修で、より高度な教育技術を身につけ、十分な成果を挙げています。さらに、人事異動で初めての町に赴任したばかりの教員であっても、地域環境に溶け込み、多様な父兄の声をしっかりと受け止めていることでしょう。

→学級崩壊に見られるように、家庭環境の変化などによって問題児の問題が生じている。また、(「出席」基準が大幅に緩和されたために見かけ上は減少している)不登校の問題が依然として残っている。そのためにはまず、少人数学級などの取り組みが必要だ。ところが、そのための予算運用の弾力性は認められていない。さらに、教員数増加のための総額裁量性も、おそらく機能しないだろう。裁量権都道府県に対して認められているのだが、義務教育の実施主体は市町村であるので、現実的に細かな対応が不可能なのである。

校長には、任免権はもとより人事権も懲戒権もありませんが、すべての教員は、彼の指導、助言を忠実に受け入れます。組織的に解決すべき問題には、教員全体が一糸乱れず、校長の指示に従って行動し、課題を次々に解決します。一ヶ月前に着任したばかりの校長は学校内に気心を知る教員は皆無で、すべてが「宛い扶持」ですが、全員の教員を統括し、教員の悩みを聞き、指導し、子供たちの保護者の意見も十分に学校経営に活かしています。さらに校長は、市町村教育委員会の指導、助言に対し、現場にとって実態にそぐわない内容であっても、真摯に受け止め、教員に適切に指示しています。……

→だから、広域人事をやめて(人材が集まらない地域は給与水準を上げればよい)、校長がそれぞれの学校の責任をもつ体制を作るべき。あと、教育委員会は建前上、レイマンコントロールを果たしているわけだが、どだい5人では機能しないし、文科省の上意下達機関に成り下がっていることは大いに問題。学校評議会のレベルでレイマンコントロールを実現する道もあるし、その理念自体を転換する道も考えられる。

市町村教育委員会は、五人の委員で構成され、校長と同様に、何の自主権もありません。しかし、文科省都道府県の方針を確認し、教育長は、指導主事を中心にして地域内の学校にその方針を忠実に反映させています。委員会は、月に一度の開催ですが、十分に機能し、レイマンコントロール(多様な人々の参加)の利点も十分に活用されています。

→嘘。指導主事とか、無駄なポストを作るな。これは文科省の事務員にも言えることだ。「多様な人々の参加」って、そんなことはありえない。

市町村長は、学校運営に必要な経費は教育委員会の要請どおり、他の経費を切りつめても予算化し、教育に対する意見など出さず、教育委員会にすべてを委ねています。

→予算の最終権限は、市町村に委ねられるべきだが、その最低基準額は国家が決定するべきだろうと思う。

時に教育委員会は、校長の持つ人事権などの意見具申権を尊重し、都道府県教育委員会に内申します。都道府県教育委員会も、文科省の方針のもと、圏域の教育委員会の地域実態を十分に把握し、内申権を尊重し、市町村教育委員会の要請に誠実に応じて、教員の人事異動など注意深く行います。

→「意見具申件」だのセコイこと言ってないで、人事権をそっくり寄越しなさい。あと、都道府県の教育委員会なんて不要だろ?「広域的人事」なんぞ、それが必要な時に手当てしてやれば良いのだから、制度自体を廃止すべき。
というわけで、抜本的には「県費負担教職員制度」、つまり都道府県が教職員の給与負担を行い、さらに人事権も持つという仕組みこそが見直されなくてはならない。って、三位一体改革は、どうなったんだっけ(時事ネタ音痴を露呈)?

教育委員会廃止論

教育委員会廃止論