「ルポ 下層社会」

今月号の文芸春秋は、読みごたえのあるすごい記事が目白押しだが、これは佐野眞一氏によるルポである。1月3日の朝日新聞記事で、足立区の就学援助率が42%に達したという報道があったが、それを受けての取材。
足立区の就学援助率は、1993年度に15.8%であったのが、2000年度には30%に達し、2004年度には42.5%にまで上昇した。足立区は、歴史的に低所得者が多く流入していた地域だが、最近は都営住宅における高齢化なども進み、また外国籍の人々も増えているのだという。多額の借金を抱えた町工場、竹ノ塚駅前のテレクラ=援交主婦などの取材によって、多くの低所得者層が貧困のサイクルのなかで生活苦に責められている事実が明らかにされている。また教育面でいえば、学力テストの成績も、保護者会の出席率も、当たり前だがともに悪く、小学校からの学校選択制実施によって「交通費も払えない」家庭の子供たちが集まる学校、というのも出現しているらしい。