今井正『夜の鼓』(1958)

今井正監督。今井監督といえば(私にとっては)『キクとイサム』だが、今日は時代劇がものすごく見たくなったので、フィルムセンターに行った。

原作は近松門左衛門の姦通話の一つ「堀川波鼓(ほりかわなみのつづみ)」。下級武士(三国)が、妻(有馬)の不義の噂を確かめようとするが、やがて悲劇へなだれ込む。近代映画協会の同人だった山田典吾が興した現代ぶろの作品で、脚本は橋本忍との華やかなタッグ。

たしかに、冒頭10分くらいでテーマと人物関係を明確に呈示する手さばきは、鮮やかそのもの。セットも作り込んでいて、非常に質が高い。
有馬稲子がお歯黒で、しかも眉毛がなく、ちょっと怖い。でも、薄幸でストイックな美人妻の感じはよく出ている。能役者の森雅之とヤッちゃうのだが、お酒を飲んでいたとはいえ、理由があったわけで…。可哀そうじゃないか、三國連太郎。許してやれよ。ってか、マヌケけな妹が有馬がピンチのとき助けようとしなかったことがすべての原因。
とまあ、ベタな感想。