鈴木清順『けんかえれじい』(1966)

1966年。鈴木清順監督、86分。高橋英樹浅野順子川津祐介宮城千賀子ほか。フィルムセンターのパンフレットより。

時代は昭和の初期。日々喧嘩に明け暮れながらも、恋に目覚めてしまった硬派学生(高橋)の苦い青春を描く。コミカルなタッチの中にも詩性がきらめく、鈴木清順の代表作の一つである。やや唐突な結末は、新藤の脚本ではなく鈴木監督の意図とされる。

奇妙奇天烈。「怪作」とでも言ったらよいか。
(許されぬ)恋に乙女心を震わせる、ピアノの上手なお嬢さん。性欲に悩み、それを昇華せんがために喧嘩に明け暮れる、バンカラ硬派学生。不良学生たちの抗争。喧嘩の奥義を会得した謎の「先生」。会津ナショナリズムへの反発。陸軍の横暴と北一輝
ハチャメチャなのだが、映像ひとつひとつに、緊張感と美意識を貫徹させているのはさすが。やはり、怪作。