太宰治のナルシシズムは、じつは深い?

朝から仕事。昼、逃避し、小山勉『トクヴィル』(ちくま学芸文庫)の序章と第一章を読む。法律・慣習・思想を生み出す源泉である「社会状態」の概念規定によって、民主制とそれが根付く社会に内在する条件を探求しようとしたトクヴィルは、そのことによって「自然状態」を想定するタイプの政治学をはるかに超える現実分析を生み出した。この「社会状態」には、「習俗」の概念が密接にかかわっている。したがって、かれをモラリストと規定する研究者もいるようだ。モンテーニュパスカルラ・ロシュフーコーラ・ブリュイエールと連なるモラリストは、「習俗を取り扱う者」であり、彼らは「個人についての人間心理、社会についての風俗習慣を研究し、その場合あくまで社会における一個の人間としての自己のあり方を通じて、生活基準としての倫理道徳を探求」した(27)。これは儒教道徳のように、個人道徳を超越的に価値化するタイプの議論とはまったく異なるものだ。社会のなかの人間にいかなる倫理が事実上可能なのかを、フランスの思想的土壌はリアルに問うてきたのである。こうした視点を内在化しつつ、トクヴィルの比較社会研究は、民主主義革命がフランスでは根付かない要因をめぐり探求される。他方、アメリカではなぜそれが可能なのかは、『アメリカのデモクラシー』のなかで、分析されている。そこで特色とされているのは、フランスの極端な中央集権主義的思潮だが、これは誰かも指摘していたことだ。
仕事が一段落して、図書館へ逃避(明日にでもメモりたい事がある)。仕事が終わり、自転車で大塚のブックオフへ。新書と単行本を1冊ずつ購入。
その後、自転車でサンチュウ食堂へ。「うなぎ丼」を食べる。美味。買ってきた単行本(出口裕弘太宰治変身譚』(飛鳥新社)、書き込みを指摘したら105円になった)をモスにて途中まで読んだ。