マキノ雅弘『次郎長三国志 第三部 次郎長と石松』(1953)

3作目にして、ますます調子づいてきたのがわかる。最高。岡本喜八のルーツもここなんだなぁと納得した。

公開:1953年 監督:マキノ雅弘
主演:小堀明男、森繁久弥久慈あさみ、若山セツ子、小泉博、広沢虎造河津清三郎、森健二
久慈あさみ扮する、投節お仲が初登場。賽を振る手も麗しい惚れ惚れするよな壷振りに、身包み剥がされる石松と、旅の途中で出会った三五郎。ウブな石松と女には自信がある三五郎は二人仲良くお仲さんに惚れてしまう。馬鹿は死ななきゃ…を地でいく石松は天井知らずにのぼせ上る。次郎長一家が賭場で捕えられ、お蝶の兄・大熊に危機が迫る。同時に四部も撮影されて、いよいよシリーズ本格化!

お仲さんのいたずらっぽい表情が非常に色っぽい。ドモリの石松と滑舌の良い三五郎の取り合わせも秀逸。序破急の脚本も上手く、ストーリー転換が同じ画面の中でなされるなど、テンポが良い。
刑務所で威張っている奴を懲らしめる場面のカタルシスの導き方が絶妙。広沢虎造が刑務所のなかにわざと入っていくシーンも楽しく、というか、お仲が三五郎を振る道すがら、虎造が現れたときには、本当にうれしくなってしまった。茶屋で三五郎が敵方の娘に気づくシーンも忘れられない。
恋の話が中心だが、最後の予告編で黒駒一家との対決が告知され、テンションが滅法上がる。シネマヴェーラ