マキノ雅弘『次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港』(1953)

傑作。

公開:1953年 監督:マキノ雅弘
主演:小堀明男、広沢虎造、森重久弥、小泉博、若山セツ子、久慈あさみ河津清三郎
加東大介扮する元気のいい漁師・豚松が、何とか次郎長の子分になろうと頑張るこの第四部で、次郎長一家の面々が勢揃いする!石松と三五郎の口利きで、行き倒れの力士・八尾々岳の一行を助けるために相撲興行を打った次郎長。しかし、三五郎と因縁のある黒駒の勝蔵一派が興行を邪魔せんと出張り…。一家それぞれ味のあるキャラクターを存分に発揮したワッショイ!な一本。

加東大介登場。お千さんが、嗚呼、三五郎に惚れてしまうよ!!
次郎長親分が清水に居を構える。御かみさんの若山セツ子の可憐なことよ。石松、三五郎が、腹をすかせた相撲取りを連れてきたときも、親分の優しい気遣いに目を輝かせ、不安をうっちゃって健気に頑張る。
三五郎と石松が敵に襲撃される林の場面は『やくざ囃子』にも類似のシーンがあった。三五郎に分のある喧嘩を親分が買ってやる、その男気に惚れて、三五郎と石松が抱き合う、あのホモソーシャルな気分の高揚は、独特の味わい。黒駒一家よ、この清水から「けえしはしねえぜ」という気分になる。
わっしょい、わっしょい。これが蓮実のいうマキノ映画の感染性か。お仲さんの凄腕にもシビれる。