マキノ雅弘『次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家』(1953)

ただただ泣ける一作。哀しすぎる大傑作。

公開:1953年 監督:マキノ雅弘
主演:小堀明男、河津清三郎田崎潤森繁久弥越路吹雪久慈あさみ、小泉博、小堀誠
猿屋勘助を叩き斬って凶状旅に出た次郎長一家は、かつて急場を救ってやった力士の八尾ヶ岳のもとへ身を寄せるが、恩は仇で返される。泣けども笑え、一家は小松村の七五郎の家へと転がり込み…。鬼吉の両親との再会、お蝶の死。涙・涙の第六部。押切権現さまに神頼みをする越路吹雪が、アッと足をもつれさせ、その脱げた下駄をただすときの胸の切なさよ。

越路吹雪のお園がお仲さんと対等に素晴らしいが、とにかくお蝶(若山セツ子)が死んでしまうのが、自分にはとうてい受け容れ難かった。今思い出しても泣けてくるし、哀しすぎて、続きの作品を観ないでは、とてもやりきれない。