島耕二『幻の馬』(1955)

(90分・35mm・カラー)小さな牧場に生まれた競走馬の哀しい生涯を、牧場一家の息子の視点で描く。馬のモデルは、大映社長・永田雅一がオーナーだった伝説的な駿馬トキノミノル。『地獄門』(1953年)以来大映が積極的に導入したイーストマンカラーによる作品で、北海道ロケの多くは大先輩・横田達之が撮影。
’55(大映東京)(撮)高橋通夫(監)(脚)(音)島耕二(脚)長谷川公之(美)高橋康一(音)大森盛太郎(出)見明凡太朗、若尾文子柳永二郎三宅邦子、北原義郎、千田是也、伊沢一郎、遊佐晃彦、岩垂幸彦、岡村文子

馬が主人公の動物映画。難しい所だろうけど、まずまず面白いストーリー展開になっていた。黒川紀章夫人、若尾文子が、化粧栄えする美しさというよりは、素顔のかわいらしさで良かった。小学生の主人公がやたらに元気すぎて、ちょっと演技過剰の気がしないでもない。最後、「姉ちゃんのバカ」と叫んでハーモニカを投げ捨てる場面では、あれは絶対に拾う場面も撮らないといけなかったと思う。でも、全体として、悪い映画では全然なかった。