今村昌平『果しなき欲望』(1959)

(100分・35mm・白黒)今村作品のおよそ半数を手掛けた撮影監督・姫田が初めて今村と組んだ作品。旧防空壕に隠された時価数千万円のモルヒネを巡って一人の妖艶な女と4人の男たちが狡猾さをむき出しにして穴掘り作業を進める。5人の一攫千金への欲望はその純粋さゆえに痛快でもある。妖女役を務めた渡辺美佐子の演技も見もの。
’59(日活)(原)藤原審爾(脚)鈴木敏郎山内久)、今村昌平(撮)姫田真左久(美)中村公彦(音)黛敏郎(出)長門裕之中原早苗西村晃殿山泰司小沢昭一加藤武渡辺美佐子、菅井一郎、高品格、河上信夫、三崎千恵子、柳沢真一、芦田伸介、秋津礼二

またもや傑作。今村監督の初期作品は絶対に観るべきだ。面白さは保証できる。
穴を掘って掘って掘りまくる。地下では泥んこ、人間関係もめちゃくちゃ。殺人も起こる。次第に地上もぐちゃぐちゃになっていって、熱帯性高気圧とともにすべてが圧倒的な破滅的高揚の中に巻き込まれていく。スカッとする。長門裕之は本当に良いなあ。
殿山泰司渡辺美佐子小沢昭一ら、穴掘り人たちの演技が本当に素晴らしいわけだが、『初春狸御殿』や『霧ある情事』で憎まれ父親役で出ていた役者がまた同じ役で出ていて、やっぱり良かった。若尾文子岡田茉莉子に続いて、今回は長門が被害者。