風邪気味だったのが、風邪になった。だるいし、頭がいたいし、声が変になっている。しんどい。
佐々木毅プラトンの呪縛』(講談社学術文庫)など、プラトン関係の本を読んだ。めちゃめちゃ面白い。ニーチェプラトンを相当すきだったらしく、政治家志望のプラトンイデア論は、考えてみれば哲人王の概念など、超越的価値を現実世界で新創造する権力意思として読むことができる。ではカリクレスとかトラシュマコスとかの卑俗な欲望肯定者についてはどのように批判できるのか、というのは微妙だが、何となくロジックが付けられそうだ。ちなみにニーチェプラトンの代わりにソクラテスには批判的だったらしい。このニーチェプラトン受容はドイツのゲオルゲ派に引き継がれ、教養市民層に特有の思想的伝統と相まって、高貴なる精神的共同体としてのドイツ国家の称揚に繋がったという。ところでアレントプラトンを批判し逆にアリストテレスを肯定するのだが、それは労働・仕事・行為という彼女の図式において、プラトンイデアの政治的現実化に際しての工作人モデルを用いていることによる。支配―服従の政治モデルでは、服従者は支配者にとっての素材にすぎず、素材への作用という面で工作=仕事の範疇を抜け出るものではないのである。ゲオルゲ派がアリストテレスを死んだ学問の代表者と見なしていたことを考えても、面白い対照だ。
土日のいずれかで、往来座を覗いてみたい。たぶん日曜になるかな?