今村昌平『「テント劇場」より 盗まれた欲情』(1958)

(92分・35mm・白黒)日活アクションの興隆期に登場した“異色”の監督・今村昌平のデビュー作。劇作に燃えるインテリ青年(長門)が、猥雑な大阪の旅回り一座と行動を共にし、将来や恋愛に悩む「若さとエネルギーに満ちた田園の喜劇」(今村)。本作に対し「マトモな人間も書け」という周囲の声に、今村は「一生ウジ虫ばかり書く」ことを固く決意したという。
’58(日活)(原)今東光(脚)鈴木敏郎山内久)(撮)障汨コ倉太郎(美)中村公彦(音)黛敏郎(出)長門裕之、香月美奈子、南田洋子滝沢修西村晃、障沍エ駿雄、小笠原章二郎、小沢昭一、柳沢真一、喜多道枝菅井きん、三好久子、武智豊子、井東柳晴、河上信夫、仲谷昇、峰三平

再び今村昌平。これが予想外にも、文句なしの傑作。
長門裕之、香月美奈子、南田洋子小沢昭一滝沢修あたりの演技が素晴らしい。ストーリーが面白いし、今村監督らしく、熱狂的な庶民の盛り上がりも突き抜けた表現になっている。河内弁も良いし、通天閣も良い。南田にフラれてからの長門と香月?のラストシーンが朗らかで素晴らしかった。日本映画の良さをたっぷり堪能できる作品。