アルセロール・ミタル

NHKスペシャル再放送「新日鉄トップの決断」(世界の鉄鋼王が狙う日本の高度技術▽敵対的買収を防げ▽三角合併解禁の衝撃)を視聴。極めて興味深い内容。娘の結婚式のためにベルサイユ宮殿?を借り切ったというインド人経営者ラクシュミ・ミタル氏。敵対的買収を繰り返し、ルクセンブルクアルセロール社も買収に成功した。世界最高の技術力を誇る新日鉄はさてどう対応するか?という話。
問題が大きいのは、新日鉄自動車産業を中心とする国内産業と緊密に結びつきつつ、日本の国際競争力の下支えを担っているからだ。買収の対象にされてしまうと、高品質の鉄製品供給に依存した国内産業の競争力は失われてしまう。カギは40万人の個人投資家であり、アルセロール・ミタルに買収されていないアジア各国、ブラジルの製鉄会社との技術提携を含んだ連携戦略も不可欠だ。
「鉄は国家なり」としてナショナリズムの象徴であった鉄鋼業界に、グローバル化のお手本のような荒波が押し寄せている。スケールの大きいホリエモン、ミタル氏の攻勢については、一企業の衰亡の問題としてではなく、国家戦略的な見地からの対策が必要である。これは「グローバリズムの世界において国益とは何か?」という原理的問題を孕むだけに、射程の長い知的な論議が、緊急かつ必須のものとして要請される。短期的には国内(自動車)産業との信頼関係の構築、個人株主の取り込みなどが課題となるが、グローバル化に対してナショナリズムの再動員がどこまで有効であるか、事態は不透明である。
今日は1時間で終わると思った資料作成に3時間もかかってしまった。見通しが甘かった。CDラジカセの調子が良く、久しぶりにJAZZではなく、ブラームス3番(バーンスタインウィーンフィル)を聴く。最近はラス・フリーマン&チェット・ベイカーとか、スタン・ゲッツとか、アート・ファーマーなんかを中心に聴いていたので、新鮮に聴こえる。