『表舞台裏舞台 福本邦雄回顧録』
伊藤隆先生、御厨貴先生(W-TAKASHI)による仕事。福本邦雄が岸内閣の秘書官になったとき、「反動岸内閣ノ秘書官ニ息子ヲスルコト絶対反対 福本和夫」との電報が届いたエピソードには笑った。福本和夫と岸信介は美濃部憲法学と上杉憲法学とで対立しつつも、帝大時代からの旧知の仲だったのだそうだ。その岸内閣が60年安保を迎えた時の回想が生々しい。自衛隊発動を要請する岸に対し、それでは内乱が生じるとした福本や椎名悦三郎だったが、この時をきっかけに岸は椎名を遠ざけるようになった。それが次期首相の指名にも影響し…といった機微は私には分からなくて残念なのだが、まあよく知っている人には面白いエピソードが沢山あるのだろう。竹下登の権力掌握術が面白かったのと、審議会に出席する学者を二流視する福本の批評的視点が興味深い。まあ、もうちょっと勉強しないと、本当の面白さは分からないように思うが、一般的なレベルでのマキャベリズムについては、随分と参考になった。というか、こんな関係のない読書をしている暇はどこにもないはずなのだが…。
- 作者: 福本邦雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 単行本
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