調子悪い。立ちくらみ。ぼうっとする。
イギリス思想叢書3『ホッブズ』を読みながら考えた。政治思想の新書レベルの入門書って、少ないと思いませんか?最近つくづく思うのだが、哲学史を勉強するくらいなら、政治思想史を勉強したほうが、政治も哲学も歴史もそれらの現代への影響も、はるかによく理解できる。しかし新書ってのが、あんまりない。推測するに、これは法学部の権威主義を表わしているんじゃないかなぁ。エリート主義者が多いからねえ(個人的にはエリート臭のする高額な本は嫌いじゃないけど)。
田中先生のこの本は大変面白いです。ホッブズの知的交遊関係も興味深ければ、ホッブズの生きた17世紀のイギリス史も面白い。内乱と制限・混合王政観の伝統とが『リヴァイアサン』を生み、プーフェンドルフ→ロック、スピノザ→ルソーといった経路によって社会契約論が確立される。また個人を単位とする社会秩序観を構想するにあたって、古代ギリシア末期のエピクロスの所説をホッブズが参考にしたというのも興味深い。アリストテレスとスコラ哲学に批判的だったホッブズエピクロスを参照したというのが、ああ近代だなぁと思わせる。