川島雄三『續 飢える魂』(1956)
(97分・35mm・白黒)『飢える魂』の続篇で、二組の愛人たちの恋の行方が語られる。困難な撮影条件下での製作であったため、ロケハンもせずにロケ撮影をしたということだが、全国ロケは作品の大きな魅力ともなっている。フランキー堺、葉山良二など豪華な顔ぶれも特別出演した。
’56(日活)(原)丹羽文雄(脚)柳澤類寿、川島雄三(撮)郄村倉太郎(美)中村公彦(音)眞鍋理一郎、橋本文雄(出)三橋達也、南田洋子、轟夕起子、郄野由美、桑野みゆき、小林旭、加藤勢津子、志摩桂子、大坂志郎、金子信雄、渡辺美佐子、小杉勇、フランキー堺、葉山良二、郄友子、小澤昭一、岡田眞澄
一作目よりも良い出来。前作のまとめが冒頭に置かれるが、そのシークェンスが素晴らしい。南田の夫の横暴が際立っている。
ロケは奈良と志摩。50年前の奈良公園、興福寺、唐招提寺、奈良ホテルの光景が興味深い。五重塔をバックに田園風景を走り抜けていく車のカットに趣きを感じる。
志摩で三橋と南田は結ばれる。夫が芸者遊びをしている間に、心の寂しさを埋めきれなくなる南田の心理的葛藤、うだうだ感がなんともいえずリアル。三橋の最後を知ることなく、新聞記事と三橋を思う南田の横顔を並置するカットが、なかなか凝っている。飛行機から夜景を見やる、というのも良い。秀作。